オフィスラブはじまってました

 自転車を押して、緒方が現れた。

「どうした。
 ラブラブじゃないか」

「いや、どの辺がラブラブなんですか……」
とひなとは言ったが、緒方は聞いていない。

「俺がお前を仮の恋人として借りたりしたせいで、柚月はお前を意識してしまったのかもしれないな」
と柚月の部屋の方を見ながら言う。

「安定していた状況に変化があると、いろんなことに気づくもんだよ」

 俺もだ、と緒方は言った。

「お前のこと、ちょっと好きかなと思ってたんだが、違った」