「ごめんね?
心配かけちゃったね」

「……」

「ね、ねぇ、私きっと汗臭いからちょっと離れて? 今日、Jリーグの観戦だったから…」

「……別にくさくない」

そう言って、そのまま思いっきり抱きしめられた。

その時気づいた。
賢人が震えている……。

危機感をちゃんと持っていたのは賢人の方だ。あぁ、情けない。
私は罪悪感でいっぱいになった。
もし賢人がここに居てくれなかったら、今頃私………ゾッとする。

少し考えれば分かったことだ。
あれは一人暮らしの女の子の部屋に上がり込む手口だったんだ。
それまで、紳士的ないい人だったから、すっかり気を許してしまっていた。

「賢人……ごめん。
全然しっかりしてなくて。情けないよね。
経験値が低過ぎるんだね。
ホント、私、年上なのに…」

「年上、年上って言うな!」

「ご、ごめん…」