そして、あっという間に2人は卒業していった。もちろん、進学先は2人同じ。
叔父の母校である、H大だった。
もう、学園に彼らの影は全くなかった。

あれは初恋。
ハンサムな王子様に憧れていただけ。
自分にそう言い聞かせて、私は学校生活を楽しんだ。

勉強もクラブ活動も生徒会も、何事にも全力で取り組むのが、私のポリシー。
失恋しても、そこは変わらなかった。
奉仕活動だって、積極的に参加した。

高校に入って、周りには続々とお付き合いする人が増えても、私には縁のないことだった。
別に、理人くんに想いを残しているわけじゃなかったんだけど……。

もう、信者のミサでも殆ど彼の姿を見ることはなかった。
大学在学中、理人くんが一度だけミサに参列したことがあったけれど、やはり凛子さんを伴っていた。
縁のなかった人だと、そう思っていた。