モテるけれど美央叔母様一筋の叔父は、余計なトラブルを招かないよう、代々の専属秘書には男性社員を置いていた。
今回、私が初めての女性秘書になる。
と言っても、血の繋がった姪だ。
お互い気兼ねなく過ごしているし、問題が起きることもない。
もちろん、会社では『社長』と呼ぶし、ちゃんと敬語で話している。

「社長、ジャケットを脱いでください。
秘書課の休憩室に、確かアイロンがあったはずです。熱いスチームを当てるだけでも乾きが全然違いますから。」

「えー、悪いなぁ。
光は家庭的だね。
雅と聖くんの教育の賜物だ。」

雅(みやび)とは私の母、社長の実姉だ。
しかし、家庭的と言われても、結婚願望皆無なんだけどね。