「明日の夜……また来るからな」



 頭をポンポンされ。

 マトイが、私の耳元に顔を近づけた。



「おやすみ…… 蓮見……」



 マトイの声は
 オルゴールみたいに優しくて。


 なぜか私の胸が
 ドックンドックン高鳴りだして。


 おやすみと言う余裕さえ
 私にはなくて。



 マトイは
 照れくさそうな顔で私に微笑むと

 居候中の春輝の家へと、帰っていった。