まだ解けない、マトイの腕。 マトイの胸を、グーでボコボコ叩いても 全く緩む気配なし。 「蓮見さ」 なによ! 睨みつける様に、マトイを見上げてみたけれど。 すぐに後悔した。 だって。 腕の力を少しだけ緩めたマトイが 悲し気な瞳で、私を見つめていたから。 「俺に……惚れんなよ……絶対に……」 それって…… どういう意味? 自信なさげな声が 私の耳に降ってきて。 脳が、マトイの言葉を処理できない。 ぼーっとして。 マトイから、瞳を逸らす気力すらなくて。 真顔でマトイを見つめてしまう私。