「マトイ、わかってる?

 雪城さんがアミュレットの
 マネージャーをしてくれるなんて。
 贅沢な事なんだからね」



 は? 知らねぇ。

 どうだっていい、そんなこと。



 聞きたくねぇ。

 蓮見の声なんか。



「もう、今日のレッスンは終わってんだよな?」



「マトイ……」



「俺……帰るから……」



 あからさまに、
 傷ついてんだけどって態度をとっている俺。



 蓮見に裏切られたことが
 あまりにショックすぎて。


 いつもと態度が違う自分なんて、
 構っている余裕はない。




 俺は自分の荷物を抱え込むと

 みんなの心配声も無視して、
 スタジオから逃げ出した。