でも、要件が気になる。



 仕事の話しか?

 それとも、春のことか?



 まさか……

 俺がプレゼントしたオルゴールの、お礼?



 そうだったら
 なおさら電話なんて出られねぇ。


 
 『ありがとう』って大好きな声で言われたら。

 俺の心が、また蓮見に奪われる。



 彼氏と今すぐ別れろよ!って、言っちゃいそう。

 俺と付き合えなんて、言えないくせに。



 雅よりヘタレじゃん。俺。



 結局俺は
 蓮見からの電話を無視し続けた。