「蓮見が楽屋に来た時。 記憶が戻っていたってことだよな?」 「あ……うん」 「言えよ! すぐに!」 「……ごめん」 「おかしいと思ったんだよ。 夢が叶ったって、オマエが言ったから」 そうだった…… マトイと舞台で共演したいっていう、私の夢。 記憶を消される前に、マトイに伝えたんだった。 一向に、私と視線を交えないマトイ。 声に怒りが込められていることだけは、 はっきりとわかる。