「マー君の部屋の壁中に、
 お札を貼ってあげようか?」



「昔のオマエの部屋、再現すんじゃねぇよ!」



「良かった。
 生意気マー君に、戻ってくれて」


 にんまり笑顔の春を見て、
 俺の心がふわっと軽くなる。



 そうだよな。


 魔法界の王子でも、俺は俺。


 国のためとはいえ、
 大事な物は、絶対に手放したくねぇ。



「春、俺に協力しろよ!」


 素直に言えないありがとうを手のひらに込め、
 俺は春の頭を優しく撫でた。