「雅くん、ごめんね」



 私、このおにぎりを食べたら。

 吐く。かなりの確率で。



「料理ができるようになれって言われたから。
 おにぎりだけは、握れるようになったのに……」



 え? 雅くん。

 いじけだしちゃった?



「雅くんは、味見したんだよね?」



 おいしかったから、私に勧めているんだよね?



「していませんよ。 
 だって、僕の口には合わなそうだし」



 へ? なんて無責任な!

 王子様の口から出た言葉とは思えない!



 もしや、自分でも食べたくないものを、
 私に食べさせようとしている?



 この部屋に入った時から、
 雅くんに拒絶されていたし。


 嫌われているのかな? 私。