だれか。私の心臓を止めて。
いやいや、死んじゃう、死んじゃう。
ドキドキを押さえる薬、今すぐ、ください。
そう願ったのに……
神様は聞き間違えたらしい。
「蓮見さん。
これ、食べてみてください」
雅くんが私の前に差し出したのは、
薬ではなくグロテスクなおにぎり。
カラフルなグミのコーティングが溶け。
グミの周りのご飯にまで、色が移っている。
神様にお願いした通り
マトイ君へのドキドキは、収まってくれたけれど。
このおにぎりは、薬じゃないからね。
口に入れたら、
とんでもないことが起きそうな予感しか、
しないからね。



