私がフフフと笑い声をこぼした時。

 廊下の突き当りのドアが開いた。



 青いエプロン姿の男の子が
 菜箸を片手に、優雅に歩いてくる。



「蓮見さん、こんばんは。
 マトイが、お世話になっています」



「いえ……私は……何も……」



 優雅に微笑む男の子は、確か……



 ドロドロに甘くて、
 痛々しいセリフをサラッとささやき。

 女の子たちのハートを甘く溶かす。
 
 アミュレットのリーダー、綾星くんだ。



「俺に料理を作らせておいて。
 食べずに帰るなんて酷いこと、
 蓮見さんはしませんよね?」



 一聞、優しく聞こえる言葉。



 でも綾星くんは、悪魔っぽく笑っていて。

 「食べずに帰ります」なんて、言えない状態。



「じゃぁ……ちょっとだけ……」



 私は3人の異様な雰囲気に負け。

 アミュレットの寮に、足を踏み入れた。