「どこに行くの?」



「蓮見には、教えねぇ」



「ヒントは?」


 
 念押しした私に、
 マトイ君が諦めたように口を開いた。



「あそこは、沼だな」



 へ?



「蓮見、気をつけろよ。
 はまったら、自力で抜け出すとか不可能だからな」



 どこですか? そこは?

 明らかに、危険な場所だよね?



「マトイ君は、助けてくれる?」



「は?」



「私が、沼にズブズブ沈んでいったら。
 引き上げてくれる?」



「どうすっかなぁ」



 なに、その意地悪そうな笑みは。


 
 デンジャラス地帯に放り込んで、
 私を見殺しにする気?



 もしかしてそれが。

 マトイ君を2日間無視した私への、復讐?



 その時、穏やかな光を瞳に宿したマトイ君が、
 フッと微笑んだ。



「蓮見がピンチになったら、助けてやるよ」



 ひゃっ!!

 か……かっこいい……