「蓮見って、今、幸せ?」



 この1年。
 ずっと聞きたかった問いを、蓮見にぶつけたのに。

 蓮見の表情は変わらない。


 苦しそうな表情に、俺の心が締め付けられる。



「幸せじゃないなんて言ったら……
 罰が当たるかな?」



「は?」



「劇団のみんなに……
 良くしてもらっているのに……」



「それって……」



 俺の言葉を遮るように、蓮見が俺に笑顔を見せた。



 その笑顔は、俺のよく知っている表情で。


 辛いことを一人で抱え込む時に見せる、
 痛々しい蓮見の表情と一緒で。

 俺の心も、えぐられるように痛む。



「マトイ君、お疲れさまでした」



 その言葉に。

 俺はそれ以上、蓮見の隣にはいられなかった。