「マトイ君、お待たせしました」



「別に、待ってねぇし」



 何この、不愛想な態度は?

 他の人には、敬語で丁寧に話すのに。

 特別視されているみたいで、なんか嬉しい。



 って、喜んじゃダメでしょ!

 
 これは舞台の練習なの!
 衣装のチェックなの!
 
 

「じゃあ、ゆっくりのスピードからお願いします」



 私の声を聞いて、真剣な表情を見せたマトイ君。



 刀を構え
 鋭い瞳が、私を切り殺そうと狙っている。


 
 この一瞬で、役に入り込めるなんて。

 か……カッコいい……