☆璃湖side☆

 う…… う……
 なんか…… 心がモゾモゾする……



 木刀を握りしめ、一人、稽古場に向かう私。

 自分でも理解不能な感情に、困惑中。



 今日、初めて会ったマトイ君。


 台本の読み合わせをした時には
 何の感情もわかなかったのに。


 マトイ君が衣装部屋に来てから、
 明らかに、私の心がおかしくなった。



 マトイ君の話し方が、敬語じゃなくなったから?

 私と同じお守りを、持っていたから?


 それとも


 つい見とれてしまうほど、綺麗な顔をしているから?



 もしや…… 恋??



 それは、ダメダメ。 絶対にダメ!!



 マトイ君は、私よりも5歳も年下で。

 今、人気急上昇中のアイドルで。

 見向きもしてもらえないだろうし。



 ただでさえ私は、
 誰とも恋なんてしちゃ、ダメなんだから!!