「じゃあマトイ君。稽古場に行って、
 本番のアクションをやってもらえる?」



「刀、持ってだよな?」



「うん。動きにくいとか、引っかかるとか。
 違和感があったら、遠慮なく言って欲しいの」



 わかったよ。

 ってか、そうなるだろうとは思っていたよ。



「最後のシーンの、
 俺と横山さんの殺陣(たて)あるだろ?」



「横山さんがマトイ君に斬られるシーン?」



「その殺陣(たて)、蓮見ならできるよな?」



「え?」



「相手がいねぇと。俺、フルで動けねぇんだけど」



 俺の無茶なお願いに、
 蓮見は唇を噛みしめて考えている。



「切られる前の、
 一回転して間合いを取るところまででいい?」



「いいけど」



「マトイ君、稽古場に先に行ってて。
 木刀取りに行ってくるから」



 そう言って、蓮見は部屋を出て行った。