台本読みの後、 刀を振り回す殺陣の確認をして。 舞台の稽古が終わったのは、夜の10時。 俺は黒いバックに、台本を詰め込むと 劇団の人に、衣裳部屋の場所を教えてもらった。 トントン。 ドアをノック。 どうせ、蓮見以外に数人、この部屋にいて、 衣装を作っているんだろうな。 そんな安易な気持ちで、立っていたのに…… 「あ、お疲れ様です」 そう言ってドアを開けた蓮見以外、 部屋には誰もいない。 壁に沿い、コの字に掛けられた衣装たち。 真ん中に、机に乗ったミシンがある。 ただ、それだけの部屋。