それを言うだけで、 俺に笑顔を向ける必要があったか? 意味深に、間をとる必要があったか? なかったよな? 真顔でストレートに 『衣装チェック、お願いします』で良かったよな? 蓮見の奴。 必要以上に、俺の心臓に負荷をかけやがって。 マジで……可愛すぎ……。 どんな態度をとられても 蓮見の心を奪われてしまう、情けない俺は。 「いいですよ」 と、沈んだ声を吐き出して 茹で上がった頬をごまかすように、台本で顔を隠した。