「芝居の稽古が終わったら、
ちょっと時間貰えるかな?」
は……?
な……なんだよ…… いきなり……?
も……も……もしや……
俺と二人だけで、話したいとか……?
ピタリと停止してもおかしくないほど
ドクンと大きく波打った、俺の心臓。
止まらない代わりに、
猛スピードの速さで、駆けはじめてしまった。
なんだよ。
男を惑わす笑顔で、俺を見つめるんじゃねぇよ。
言いたいことがあるなら、早く言えよ。
「チェックしてもらいたくて」
何をだよ?
「マトイ君の。本番の衣装」
俺の心臓が
不発の爆弾並みに、ガッカリ感を募らせた。



