緊張を追い払うように、 体中の空気を吐き出した瞬間。 「あれ、璃湖ちゃんは?」 染谷さんの声に、追い出した緊張が、 また俺の体の中に戻ってきやがった。 「璃湖ちゃん、衣装部屋じゃないですか?」 「私、呼んできま~す」 は? 蓮見の奴、この建物内にいるのかよ! ヤベっ。マジでヤベぇ。 今度は確実に、蓮見とご対面じゃん。 無表情、死守しねぇと。 蓮見を見て、キモい笑顔しちゃうとか。 マジで勘弁。 目が合った一瞬で嫌われるとか、 立ち直れないほど落ちるから。俺の心が。