☆マトイside☆

 初めて聞いた、蓮見の暗い過去。



 俺が思っていたより、
 蓮見が背負っていた苦しみが重すぎて。

 
 小5から7年も蓮見の傍にいたのに。

 頼られなかった現実が、なんかムカつく。



 でも
 ムカついている相手は、蓮見ではない。

 いつも、自分のことで精いっぱいな、
 情けない俺。




「今の私の夢、聞きたい?」



「なんだよ?」



「いつかマトイと、共演できたらいいな」



「は?」



「今ね、劇団で必死に
 お芝居の練習をしているんだ。
 いつかマトイと、同じ舞台に立ちたい」



 そんな大きな夢、叶わねぇだろって思ってるでしょ?
 って、蓮見は笑ったけれど。

 そんなこと、思ってねぇよ。



 ただ……



 蓮見の夢に、俺が絡んでいたことが嬉しくて。

 バカみたいに、固まっちゃっただけだよ。