聞こうと思った、その瞬間。

 ダンススタジオのドアが開き。



「みんな、おひさ~!」



 超ご機嫌な副社長が
 手をヒラヒラさせ入ってきた。



「え? 副社長? お……お疲れ様です」



「璃湖ちゃん、
 さらに美人オーラが増してるじゃん。
 まだ、彼と別れてない?」



 また、この質問かぁ。



「別れてないですよ」



「だよね?
 彼が手放すわけないか。こんな美女。
 でも、そろそろ俺にしない?」



 チャラすぎる副社長に

 大きくウエーブがかった髪が揺れるほど
 強気で顔を横に振る私。




 副社長とはお付き合いできません。



 だって、彼のことが好きだし。



 副社長はイケメンだけど。

 他の女の子にも
 甘い言葉を吐いて誘っていそうだし。



 信用したら、絶対に泣かされる。


 こういう人には
 仕事以外で関わらないのが一番。