その後の俺は。

 自転車を必死に漕いだ。


 蓮見にどうしても会いたくて。


 自分の気持ちも
 魔法界の王子だってことも、
 全部伝えたくて。



 だから
 蓮見とは付き合えないって。

 本当のことを、伝えたくて。




 真冬なのに。

 制服のブレザーの上に
 コートなんて羽織ってねぇのに。


 血液が沸騰するんじゃないかってほど
 必死にペダルを漕いだ。



 でも……



 蓮見が住んでいたはずの部屋は。

 カーテンがない窓に
『入居者募集』の看板が
 貼り付けられていて。



 もう蓮見は、
 住んではいなかった。