「マー君、聞いてる?」



 これでもかというほど
 口を尖らせた春輝。



 聞いてねぇよ。

 オマエのノロケを聞く心の余裕なんて、
 俺にはねぇんだよ。



「ウサギ、ウサギ、
 うるせぇんだよ。春は」



 怖めに声を作っても、
 春輝の心はノーダメージ。



 本当に、春輝の心の図太さに、
 感心するわ。

 マジで。



「可愛いでしょ? この恋お守り、
 みゅうみゅうが作ってくれたんだよ」



「へ~」



「僕が東京に言っちゃったら。
 遠距離になっちゃうからって」



 珍しく、春輝の瞳が悲し気に光って。

 なんて声をかけていいか
 戸惑ったけれど。



「こっちはマー君のお守りだよ」



 俺の前で
 お守りをユラユラさせる春輝に、
 いつも通りつっこむ。



「いらねぇし」