「蓮見、嬉しくねえのかよ?」
ちょっとだけ悲しげな目をしたマトイに
見つめられ。
ドキリ。
う……嬉しいよ。
家宝にしたいくらい嬉しいよ。
でも……
そんなこと言えないし……
返事すらしない私に、
マトイは、イライラを募らせ。
「春! そのアルバム、
事務所のゴミ箱に捨ててこい」
と、声を張り上げた。
ひゃ!! ダメ!ダメ!
捨てるなんて、絶対にダメ!
「マネージャー、捨てていいの?
マー君が、写真のデコり方を調べて
作ったんだよ」
「春! 余計なこと言うなって!」
「捨てちゃったら。
もったいないお化け、出てくるよ」
それでも、いいの?と、
春輝のゆるゆる笑顔に念押しされ。
「蓮見がいらないって言ってんだから。
捨ててこい。今すぐに」
と、マトイがマジギレ。
どうしたらいいか、悩みに悩んだあげく。
自分の欲求に、負けてしまった私。
「みんな……
アルバム……ありがとう……」
可愛げのない声でつぶやくと
「どういたしまして」と
神スマイルを振りまく春輝から、
アルバムを受け取ってしまった。



