「マトイは、お芝居のレッスンでしょ?」
「ああ、午後からな。
蓮見も見に来るわけ?」
「顔を出す程度ね」
芝居の鶴橋先生にも
新しいマネージャーを
紹介しなきゃいけないしね。
マトイの作ってくれたオムライスを
口に運ぶ。
「おいしい……」
アミュレットの中で、料理ができるのは
綾星だけかと思っていたけど。
それも、私の思い込みだったんだね。
7年も、マトイの傍にいて。
何を見ていたんだろうな。私は。
マトイは、
アミュレットの中で一番ひねくれていて。
褒められても、素直に喜ばなくて。
練習は、だるそうに参加するのに。
次回までに、
習ったところは完璧にマスターしてきて。
上から目線で。俺様系で。
でも、アミュレットのメンバーが
傷ついている時には
その傷を、
マトイなりに塞いであげようとして。
マトイの良いところ。
全部、わかっているつもりだったのに。
私に見えていたものって、
ほんの一部でしかなかったんだね。
そりゃ、アミュレットのマネージャー
下ろされて当然だよ。



