もう離さないでね

廊下の隅っこに2人きりになる。

はぁ…聖那のため息が一層空気を重くする。

「…なにしてんの」

呆れた?怒ってる?

『…ごめんなさい』

「とりあえずぎゅーさせて」

すっぽりと聖那の腕に埋もる。

ほのかに香水の匂いがする。

『あ、あのね。好意じゃないよ』

言い訳だって言うのはわかってる。

けど、ちゃんと言わないと。

「うん。分かってるから大丈夫」