痛々しく残る傷跡に、彼は舌を這わせた。太ももを撫でる手はゆっくりと上へとあがってくる。
 彼の唇が一番敏感な場所をとらえたその瞬間、紅の全身がびくりと大きく震えた。自分の身体が自分のものではなくなってしまったような感覚に陥る。たまらなくなって、思わず紅は矯声をあげた。

「あっ……んっ……」

 彼が攻撃の手を緩めることはなく、波のように押し寄せる快感に紅は必死に耐えていたが、それもすぐに限界がきた。
 その後は堰を切ったように、紅の口からは甘い喘ぎが漏れ続けた。

 声が止むわずかな瞬間には、すぐさま彼が唇を重ねてくる。
 熱を帯びたような彼の瞳に射抜かれると、紅の身体はますます昂ぶった。

 頭にはもやがかかったようで、なにも考えることなどできなかった。ふたつの身体が重なり、溶け合っていく。その快楽に、深く深くどこまでも堕ちていった。

「愛してるよ、紅」

 彼のその言葉を最後に、紅は意識を手放してしまった。