宗介は紅の頭を優しく撫でながら、言葉を続ける。

「紅が思ってるよりはるか昔から、俺は紅に惚れてる。それは、信じて」

 ふたりの視線が絡み合う。流れる空気までもが、とろりと濃密になったような気がする。
 紅はたまらず身体をひこうとしたが、肩に回された宗介の腕に阻止された。  それどころか、反対にぐいっと引き寄せられてしまった。

「逃さないよ」
「あっ……」

 彼の長い指が紅の顎をくいと持ち上げる。そのまま噛みつくように唇を奪われた。普段の紳士的な彼からは想像もつかない、獣のように激しいキスだった。
 強引に侵入してきた舌に絶えず甘い刺激を送り続けられ、紅は悶えた。
 お互いの荒い呼吸が混ざり合う。

「ま、待って。まだ……」
「無理。もう止まれないから、諦めて」

 次の瞬間、紅の瞳に映る彼は天井を背にしていた。広々としたソファに紅は押し倒され、彼の身体の重みで身動きを封じられてしまった。

「今夜は……このまま流されて」

 宗介は紅の首筋に頭を埋めた。元々乱れていたブラウスはあっという間に剥ぎ取られ素肌が晒される。
 彼の唇は鎖骨から肩の傷跡へとゆっくりと移っていく。

「あっ、そこはあんまり……」

 なんでもない。そうは言ったけれど、美しいものではないし宗介にまじまじと見られるのは恥ずかしかった。
 
「紅のものなら傷跡も愛おしいよ」