最近推しができた。

全然知られてないけど、
すごく頑張ってるのが伝わってくるような
新人歌い手さんだ。
私と同い年らしい。あと………
身長160cm前後、誕生日10月中旬、得意教科体育、数学、苦手な教科英語。

「ライト」って名前で活動しているんだけど、その名前は本名からきたらしい。

私の誕生日は10月14日。えへへ〜。もしかしたらライト君と誕生日同じかも。


ライト君の投稿が3日に1本だったのに最近投稿がない。
毎週土曜の生配信も無くなっちゃったし…
何かあったのだろうか?

「朱理(あかり)〜今日転校生来るんだって」

(ライト君が心配でそれどころじゃないのに)
って思いながらも私は美果(みか)に返事をした。

「性別どっちだろうね~」

「男子らしいよ。女子だったらよかったの
 に」

いつも思うが美果はどこからこういう情報を得ているんだろう?

「イケメンかな?w」

美果がそんなこと言うから
こうかえしてみたw

「イケメンだと思えばイケメンに見えるんじ
 ゃない?w」

「 ww何それぇ〜wwwwwww」

まぁ、そんな感じで美果と喋ってたらいつの間にか学校についていた。


朝の会が始まってから、転入生が入ってきた。一礼してから

「椋本 光樹(くらもと こうき)です。得意
 な教科は体育と数学、苦手な教科は
 英語です。
 えっと、誕生日は10月14日です。………
 祝って下さい!僕言いましたからね!
 もう一回言いますよ!
 僕の誕生日は10月14日です!!
 いいですかぁ?10月14日ですからね!」

どっと笑いがおこる。容姿は整っており、ユーモアのある好少年だった。

…まって違う!それどころじゃない!光樹→光=right (ライト)だし

得意教科と苦手教科も同じだし、見た感じ160cm代ぐらいだし?
誕生日10月中旬じゃん?

いや、わかる、わかる。160cm前後の中2男子で、体育と数学得意で、
英語が苦手な10月中旬誕生日の、
ライトに関係している名前の人
なんてきっと他にもいると思うからさぁ?
これでキャーキャー言ってたらキリないしw

いや、そうなんだけどさ?
そうなんだけどさぁ?

声もライト君の喋り声にめっちゃ似てるし、え?なんなん?
え?ライト君?え?ちょっまって、…え?……やばいやばい。

ふーーー。落ち着け?落ち着け私。うん。

「これからよろしくお願いします。」

椋本 光樹がまた一礼した。
っっっっゔゔゔっん゛んん゛ん゛んん゛〜。

似てるよ〜。やっぱ似てるよ〜。似てるどころじゃなくてもう本人だって。
もしくは似せてるってぇ〜。

「じゃぁ、椋本は岩崎(いわさき)の隣なー。
 ほら、あそこの席あいてるところ。」

あーもー。いいな岩崎。
ライト君らしき人が隣ってー。

「よろしくですw」

椋本が私の隣に来てそう言って
隣の席に座った。

ん?…そうじゃん!私岩崎じゃん!
え、私岩崎。うん。
岩崎朱理。

はい、私の名前です。…え、隣。

やばいやばいやばいやばいやばい。
いやでも、"ライト君”らしい人だから、似てる人だから。

「あれ?ごめん聞こえなかった?」

?!!!?!ゔあ゛ーーーー!!
無理無理無理無理無理無理無理無理!

似てるじゃないって本人だってぇ〜!

頭の中、関連でライト君の歌ってみた流れてるもん。本人じゃん。

「えっと………聞こえる?」

やばい!!まだ返事してなかった!!

「~~~~~~~~~ッ」

緊張して声が出ない!どうしよう第一印象が

「返事してくれない人」

になっちゃう!!どうしよう!
あ!首!!首動く!
私はパニックになりながら首を縦に振った。
?やばい!私震えてる!?
ってまって、私何回頷いてる?

「 wwwwwww」

え?ライト君笑ってない?
可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い。 

「よろしくー!」

笑顔で話しかけてくる。
無理。やばい。
私は倒れるように寝るふりをした。
やばい。絶対引かれた。
そのとき、私の後ろから声がした。

「ごめんね〜?この子朱理っていうんだけ 
 ど、今日寝不足なんだって」

美果だ!優しすぎかよ〜
ありがとー!本当にありがとう!

「wマジかwめっちゃ堂々と寝るじゃんw」

美果。また今度なんか奢るよ。マジでありがとう。

「おやすみ〜」

!!!?!?!???!ん゛ん゛ん゛ん゛ゔゔゔゔっん!

破壊力ありすぎだってぇ!
キュン死するってー!

なに?なんなん?
おやっおやすみって?!
おやすみ〜って
なんなん?
私タ死んじゃうってぇー!
てか今日移動教室無くてよかったぁ。
もう今日は寝るふりしとこ。
私の心臓がもたない!

待って、違う。6時間授業だし、
給食もあるし、ダメじゃん、
起きなきゃじゃん!
……掃除はないけど。
給食が難関だなぁ。
早く食べてすぐ寝よ。

給食の時間になった。
今まで長かったなぁ。
寝てたふりしてただけだったし。
早く食べ終えよ。
え?待っていやだ。
ライト君に、あっ間違えた。
いや、あってるかもだけど、
光樹君に
「ごはんめっちゃ食べるやつ」
って覚えられるかもしれないのいやだ。

……………………………
半分くらい食べてから、

「美果〜。あげる〜。」

「え?いいの?ヤッタァ⤴︎」

「wwww」

あ〜もー
まじで美果と同じ班でよかった〜。
美果大好き〜!
よっしゃ寝よ。






あれ?
いつの間にか帰りの会が終わってた。
本当に寝ちゃってたみたい。
いつから寝てたんだろう?

「おはよっ」

⁉︎…!!!!!!!
ラッrrrライット君⁉︎
ライト君じゃん?
あっそうだった。
ライト君今横の席だ。
ダァ!ちゃう!違う違う‼︎
ライト君に似てる
椋本 光樹君が隣の席なんだってぇ!

にしてもマジで
特徴合いすぎじゃない?

声本人かって思うぐらい
似てるもん。

「あれ?wおはよって言ったんだけど
 また無視?wひどいなぁw」

ハッ!しまったぁ‼︎やばい!!!!!!!

「ごめんなさい!
 ライト君が隣に座っていr …ぁ。」

血の気が引いていくのがわかる。
「…………」
沈黙が続く。
やばい、
マジで変な奴だと思われている。

言い訳?言い訳する?
どうやって?え?
「こうた君」って呼んじゃうのは
まだ、まだ笑い話に終わるでしょ?

  “ライト君”

やばいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ
思いっきり言っちゃったぁぁぁぁぁぁ!
どうしよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!

  “噛んじゃった!(๑❛︎ڡ❛︎๑)☆︎テヘペロ”

いや、無しだろー!
その上キモイやん?
いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ

「いつから知ってた?」

光樹君が先に口を開いた。
ヒィ!
目のハイライトが
小さくなってますよぉ!
こあいよー
こあいよー


ん゛?
待って?

  “いつから知ってた?”

ん?
え゛?え゛?
ああ〜。
まじでライト君だったんだ。
へー。ん?

「マジ?」

「え?知ってたんじゃないの?」

「……………」

また沈黙が続く。
嘘だろ?
マジでライト君だった。

え?
夢オチとかないよね?
許さんよ?

あれ?
そういえば前の生配信のときに
「リア友にバレたくない」
って言っていたような…

「バレたら動画全部消して
 活動もやめます。」

って言っていたような………
やっっッッバッイ‼︎‼︎

「私はあなたとまだ
 友達になってないから!!!」

「………………え゛?」

 「……………」
わぁすごい。
こんなに静かなの
生まれて初めてぇ!

私は何を言ってるんだろ。

いやだって、
「リア友」にバレたくないって
言ってたから、
友達じゃない人にバレても
全然大丈夫なのかなって
思ったんだよ。

何かに気付いて
しゅんと落ち込むライト君。

「ごめん、馴れ馴れしかったかな?」

ん?待って違う。
思っていた返信が予想外すぎる。
優しいすぎるようライト君〜〜〜!

「えっと、ごめん
 この前の配信のときにバレたらやめる
 って聞いたから…」

私は涙目になりながら

「友達じゃなかったら
 まだ、投稿続けてくれると思って」



「えっ!?
 僕そんな話したっけ?」

「⁉︎」

あれ?してなかったの?
いやでも、だいぶ印象に
残ったから覚えているんだけど…
 ?

ライト君が微笑んで、
「ふふっ」
って笑った後、

「僕はもう友達だと思ってたけど
 友達じゃない方がいい?」

って
どう返したらいいかわからず
少し黙った後

「…投稿やめちゃうなら」

と言った。

「そっか。 
 でも、僕は朱理さんと
 仲良くなりたいし、
 投稿もやめたくない。」

なにそれかわいすぎん?

「だからさ、」

   …………………

「付き合えないかな?」

⁉︎ ((((;゙゚'ω゚'))))))))
   ツキアウ?
待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って待って?

え?急展開すぎて
ついていけない。

や、だって。
今日、推しが私の学校に引っ越してきて、
同じクラスで隣の席で、………ツキアウ⁉︎

おかしいおかしいおかしい。

「なん…で?」

声に出せたのはこの言葉だけだった。

再び沈黙が訪れる。



「ごめん、ずるかったよね。」

なんのことかわからず、
私は目を丸くした。

ライト君は話を続けた。

「えっと、言うの恥ずかしいん
 だけど、その…」

「一目惚れで、
 さっきライトを知っている
 みたいだったから、
 《ライト》って存在を
 使って朱理さんと付き合おう
 としてました。」

ライト君は首まで真っ赤にして話した。
……タコみたい。

きっと
そんなことを思ってる
私の方が真っ赤になっているんだろう。


「返事はいつでも待つから!
 待ってるから!」

そう言って、
ライト君は教室から立ち去った。

え?ライト君と付き合える?
私が?
…熱があるみたい。
顔が熱い。
一目惚れ?そんな素振りなかったのに!?
一日中寝てた女だったのに?
前髪を整えるふりをして
自分の顔を見た。

「…ゆでダコみたい」

ぼそっとそう呟いた。
その時、

ダッダッダッダッダッダ

誰かが走ってきた。

教室の入口を見たら
ライト君と目があった。

!?

「…忘れ物…した。」
息が切れていて、
顔が真っ赤で、
……
目、合わせてくれなかった。

なんか嫌だ。
私を見てほしい。

美果と楽しげに喋ってたのを
なぜか今思い出した。

「…付き合おう。」

ライト君がバッと私をみた。

私もびっくりした。
いつの間にか声に出ていた。


そして、私は
ライト君…光樹君と付き合う
ことになった。

これからちゃんと光樹って
呼ぶように気を付けたいなw


光樹はお父さんが転勤族らしく
これからも転校する可能性があるって
言ってた。
でも、別れるつもりはないって。

この前席替えしたんだけど、
また光樹と隣だった。

ずっと隣だったらいいなって
思って、祈ってた結果かな?

光樹も同じ考えだったらいいなぁ。


光樹が引っ越した。
今はLINEで話したり、
テレビ通話したりしてる。
もしかすると、
また帰って来るかもしれないって
光樹が言ってた。
でも、
学生の内に光樹が
帰って来ることはなかった。
その代わり、夏休みなどの長期休み期間
は旅行気分で光樹に会いに行ったり、
光樹が会いに来てくれたりした。




社会人になって、
光樹と同棲することになった。


最近は
光樹が私の人生の隣にいたらいいのに
って考えている。

光樹はどう思ってますか?