紅一点

 
そんなハオを思ってか、
さっき雅也がポツッと
漏らした。

“月の石は、回収できた。
アイツらの使っていた道は
全部閉じた。もう心配ないよ。”

無言で数回頷いた太夫と
“そっか。サンキュー”と
言葉すくなに応えたハオ。

詳細は後ほど池田屋で
聞くことになるのだろう。

「重蔵、人参残ってるわよ。」

重い話の陰で、好き嫌いを
克服できない重蔵に、
暗に食えと指摘すれば。

「何?オマエその歳になって
まだ人参食えないのか?」

呆れた雅也の声。

「え?いや…ハオ。
オマエ成長期だろう?
有り難く思え。わけてやる。」

「その肉と共にくれるなら
引き受けるけど?」

一気に空気が緩んだ。

大人の偏食事情にクスクス
笑っていた禿が太夫に一言。

「太夫、この方達の紅一点は
ハオちゃんではなく、
黒田様なのですね。」

太夫は、一瞬キョトンとした後

「ホントだ!」

そう言って声をあげて
笑い出した。

なにそれー?
俺はオトコですけど?

「上手いこというね。」

「座布団一枚だな。」

「納得。淳之介が1番女子力
高いしねー。乙女だし♪」

ハオまで賛同している。
覚えてなさいよ。今晩、
たっぷり教えてあげるから。