紅一点

 
「淳之介!飯ある?
俺と雅也の分!完徹で
腹減ってんだよ。」

勝手に玄関を開けて
入ってくる
幼馴染二人の足音。
いつも通り、よくある光景

「いつもながら、賑やかね。
アンタ達、適当に
お座んなさいな。」

別に盛り付けておいた
膳を取りに腰を上げる。

「淳之介、手伝う?」

小首を傾げるハオが可愛い。

「大丈夫。食べてなさいな。
食べたら直ぐに池田屋に行くし。
あのせっかちは待てないから。」

「はーい。じゃあ遠慮なく。」

「おい、ハオもっと詰めろ。
座れねえ。」

「あ?立って食えば?」

「テメェ、シバくぞ!?」

ああ、あの3人は相変わらず
仲が悪いわね。まあ、最初が
アレだったから、仕方ないわね。

でも…

「うるさい!雅也!重蔵!
さっさと座りな!埃がたつ!」

ほら、太夫に怒られた。

あの人怒らせたら怖いのよ。
アタシたち、よく知ってるでしょ。

「お待たせ。ほら、追加の
デザートも持ってきたわよ。」

二人に配膳した盆を渡し
アタシ達には食後の甘味。

「ぅわああ♪綺麗だぁ。」

感動しきりの禿に、太夫が
皿へ取り分けてやっている。

昨日のことを聞きたいであろう
ハオも、禿の前だからか、
もうすぐ分かることだからか、
何も聞かずにいる。