紅一点

 
小鉢を並べた食卓
湯気の立つお椀と茶碗

ハオがここに来たころ
とても感動していたことを
思い出す。

禿を自ら迎えにきた太夫も
加わった賑やかな食卓。
三様の声がリビングから聞こえる。

「ハオ、あっつい茶、頂戴。
渋めに入れるのよぉ♪」

「は?自分で入れなさい!
ここは遊郭じゃありません!」

「ハオちゃんっ!私が入れるから!
太夫の好みは知っているの。」

…禿も大変ね。
その姐さん達は
桁外れに自由人よ。

しかしまあ
微妙な景色だわね。

…ジャージに囲まれるとか
アタシの方が普通じゃ
ないみたい。

「禿、アンタまでソレ好きに
なっちゃったの?」

「はい♪動きやすいのです。
お稽古もおつかいも捗りそうです。
ハオちゃんがおにゅうがあるって
くれました。」

「それ、試合用に買ったけど
着なかったんだ、似合ってるよ。
持ってきてよかったよ♪」

なんて幸せなのかしら。

朝日の中で、大事な達と
囲む食卓。

満たされ過ぎてため息がでそう。
おしんこをポリポリ齧りながら
高まる気持ちを落ち着けた。