淳之介の部屋は
箪笥と押し入れとベッドだけの
シンプルな空間だ。
その箪笥の中にはキレイな
着物が入っているのは
知っている。
淳之介は華やかな色柄を好み
とてもよく似合っている。
押し入れにある予備の布団は
幼馴染のあの二人が
泊まる時に備えたものだと
聞いたことがある。
無機質というかーーー
何というかーーーーー
最近、私は気づいた事がある。
淳之介は、自分の事に
無頓着といか、欲がないというか
あまりこだわりが無い。
もちろん、趣味嗜好はある。
きっとそれは強い方だ。
この家も、この部屋も、
何処か自分のためではなく
ここにくる誰かの事を思って
備えられているけど。
肝心の本人のためのものが
本当に少ないのだ。
「どうしたの?
キョロキョロして。」
その辺に座れといわれ
淳之介と並び、ベッドに
腰掛けた。
「…いや、アンタ…そこに座る?
…まあ、いいか。」
一瞬、瞳が落ちそうなほど
目を見開いて、彼は苦笑した。
「ねえ、ハオ。
アンタが飛び出した時
どれだけ驚いたかわかる?
ハオは女の子で、どれだけ
体力があるっていっても
常に勝り続けるなんて無理な事。
ケガをしたら…どこか壊れたり
もしもの事があったら…って
思うと、気が狂うかと思った。」
そう言って、淳之介は
私の頬に両手で触れる。


