最後の一夜が授けた奇跡

「季里」
俺の呼びかけに季里がうっすらと瞳を開ける。
「・・・っ」
眉間のしわを深める季里。
「痛むのか?」
意識を失う前に苦痛に顔をゆがめていた季里。
なんの点滴をしているのかも今の俺には聞かされていない。

「・・・律樹・・・」
意識がまだもうろうとしているようで季里は俺の方に手を伸ばした。

何度か瞬きをしながら意識をはっきりとさせようとしている。

すぐに俺は季里が伸ばした手を握る。
「季里。大丈夫か?」

こんな状態にしてしまったのはすべて俺だと思いながら季里の手を両手で包み込む。
「痛むか?」

俺の言葉に季里はゆっくりと首を横に振った。