最後の一夜が授けた奇跡

「・・・っ」
ベッドに横になり眠っていた季里が眉間にしわを寄せた。
「季里」
そっとその名前を呼ぶ。
柔らかい髪をそっと撫でる。

理事長に言いたい放題言われた季里が部屋を出て行ったとき、俺は理事長にもう一度告げた。
結果を出すまでは季里に言わないと決めていた言葉をすぐにでも季里に言おうと心に決めながら。


俺を軽蔑したってかまわない。
俺という存在を否定したってかまわない。

社長という地位よりも、理事長の息子であるという過去よりも、俺は愛する人との未来が欲しいと。

今までことをすべて捨ててでも俺は季里との未来を選ぶと。