最後の一夜が授けた奇跡

「俺が社長としてもっとちゃんとできたらさ」
「律樹」
私はその言葉の続きを聞いたらいけないとわかっている。
あえて言葉を遮り、律樹の方を見る私に、律樹は私を抱きしめていた手を空中で止めた。

「これが最後の夜」
私の言葉に律樹は動きを止める。

驚きに次第に目を丸くする律樹。

緊張した時や、焦っているときに、律樹は口の端がピクリと動く。
今もそう。

私の言葉に律樹は口の端をピクリとこわばらせた。

「これが最後だよ」
私は両手を律樹の頬にあてて、律樹の頬を包み込む。

私よりも背の高い律樹。
少し背伸びして、私は律樹の唇にキスをする。