いつもよりも最近は朝の身支度に時間をかけている私。
数少ない出勤日。せめてきれいな格好で、おしゃれしたい。

律樹に、少しでもきれいな状態の私を覚えていてほしい。

そんなことをまだ考えている自分が少しおかしくなって、私は鏡の中の自分に苦笑いした。



あと5日。
そうかみしめながら、私は仕事に向かった。

今日は最後に一番つらい日になるかもしれないとわかっている日。

律樹のスケジュールには理事長と、許嫁である不動産会社令嬢とそのお父さんの会食となっている。
社長室で行われる会食の接待に私や秘書課の女性職員があたることになっている。

律樹の未来を見届けるのはやっぱりつらい。