最後の一夜が授けた奇跡

「ごめん。」
「もうっ」
「ごめんって。」

あのころよりも自然に笑うようになった律樹。

その笑顔を見るとなんでも許してしまいそうになる。

「ごめん。ほら、行こう。」
そう言って私に手を差し出す律樹。

私の手を簡単に包み込んでしまう律樹の大きな手。
この手に私はいつも、いつだって守られている。

でも今はもう私の物だけじゃない。

私たちの間に生まれた大切な宝物の命を守ってくれている手。