最後の一夜が授けた奇跡

「笑ってほしい。心から。そんなにうつむかないでほしい。」
どうしても気持ちを届けたくてまっすぐに彼を見ていると、彼は驚いた表情から再び戸惑ったような表情に変わった。

そして


「この気持ちに名前を付けたら、きっと俺は泉崎さんを苦しめるからって、気づかないふりしてた。なのに、なんでそんなに俺の心の中に入ってくるんだよ。」
「・・・・ごめん」
迷惑だったかと私は叱られた子供のように不安になって、彼から視線をそらしてうつむいた。

地面に降りて消えていく雪を見つめる。

彼に拒絶されてしまった。

偉そうだよね。

そうだよね。

そんなに親しくもない人からそんなこと言われて・・。

よく考えたら嫌だよね・・・。