最後の一夜が授けた奇跡

少ししてから「・・くしゅっ・・・・」不意打ちで我慢していたくしゃみが出てしまった。

びしょぬれの体から体温が奪われてかなり寒い。

震える唇。今、私唇青くなってんだろうなと分かるくらい体が冷えている。

その時、隣でがさごそと彼が動く気配を感じた。

見たらいけない。

そんな気がして視線を前に向けたままにしていると、「これ、洗ってあるから。」と彼が私の前に体操着を差し出してきた。

「・・・え?」
「風邪ひく。そんなままだと。」
「・・・大丈夫・・・です・・・」
なんて返事をしたらいいかわからずに、戸惑いながら彼を見ると少し寂しそうに微笑んだ。

「頼むから着て?俺の、嫌だと思うけど。」
「いやじゃないけど・・・」
まるで私が彼を拒絶でもしたかのような彼の寂しそうな表情に、私はちくりと胸が痛んだ。