最後の一夜が授けた奇跡

手をつなぎながら夕日を見ている時、亮太は言った。

「いろいろあったけどさ」
「うん」
「辛いことも、離れて寂しいことも不安なこともあったけどさ。」
「うん」
「人生に無駄なことなんて一つもないんだって思う。」
「無駄なこと?」
手をつないだまま私は夕日から亮太の方へ視線を移した。

その顔は夕日に照らされてまぶしい。

「あぁ。つらいことも、苦しいことも、全部無駄なんかじゃないんだよ。全部があったから、俺たちはここに今一緒にいられるんだ。」
「・・・」
「全部が積み重なって、俺たちを作っていて、そして、今俺たちは一緒にいる。」
亮太が私の方に視線を向ける。
「新しい命も生まれる。繋がってるんだ。」
ちらりと私のお腹の方に視線を向ける亮太。