最後の一夜が授けた奇跡

「びっくりした?」
と幼い子供のように笑うその人。

「え?・・・なんっ?なんでっ?」
動揺のあまり言葉に詰まると私の反応にさらにその人は嬉しそうに笑う。

「迎えに来た」
びしょぬれのその人は、プールに全く合わなシャツ姿だ。

「え?」
驚きのあまり、うまく言葉が続かない。

「やっと迎えに来られたんだ。」
「え?どういうこと?」
「ただいま」
「・・・おかえり・・・?」
「ただいま」

そう言って笑いながら私の体に飛びつくように抱き着いてきたのはほかの誰でもない。

多岐川亮太。

元秘書兼運転手の多岐川亮太に間違いない。