最後の一夜が授けた奇跡

わざと突き放すような言葉を言うのは、この窮屈な世界から多岐川を解放するため。

この窮屈な世界に縛り付けたらいけない。

後ろめたさを感じさせないように・・・

ぎゅっと瞳を閉じて残りの涙をすべて流してから私は深呼吸をする。

「私は自分の運命に立ち向かうって決めてるの。だから、自由な世界にはやっぱりあこがれるけど、ずっとそこにいたいとは思わない。」
「・・・」
「でもあなたはここにいたらだめ。この窮屈な世界から自由な世界に出て、歩いて行ってほしい。」
「・・・」
「だから、あと少ししたら・・・いつものお嬢様と秘書兼運転手に戻らないと」
口から出る言葉に、私は自分の心がずきずきと痛む。

でもそれでもいい。
そう思えるのはそれだけ多岐川という存在に感謝しているから。大切だからだ。