最後の一夜が授けた奇跡

多岐川が景色から私の方へを視線をうつす。

「この窮屈な世界から俺が出してあげたいって。自由な世界を見せてあげたいって。」
微笑む多岐川。

私は今日は自分の心や表情をコントロールできなくて、涙が流れてしまう。

その涙を自分で拭うおうとするとその前に多岐川が大きな手を伸ばして、私の流れている涙に触れた。

「今にも泣きそうなのに、必死にこらえるその子に泣いていいんだよってずっと言って抱きしめてあげたかったんだ。」
ふっと笑った多岐川が私の体をそっと抱きしめる。

「やっとできた」
耳元でささやかれるその言葉に、私はお父さんが亡くなってからどうして多岐川が私の元へ来てくれたのか、その理由がやっとわかったような気がした。