最後の一夜が授けた奇跡

夕方になると多岐川は再び私を車に乗せて、にぎやかな街から離れた場所に連れて行ってくれた。

車から降りて手をつなぎ上り坂を登る。

小高い丘に着くと、そこからはきれいな夕日が沈むのが見えた。


「きれい・・・」
思わず口から出た言葉。

そして自然と涙があふれた。



手を握ったまま優しく多岐川は微笑みかけるだけで、何も言わない。

でも、言葉はなくてもちゃんと多岐川が私を慰めようとしてくれていることも、励ましてくれていることも伝わっている。