最後の一夜が授けた奇跡

「何言って」
「いいから。今日くらいいいじゃん。」
「・・・」
戸惑う私に多岐川が真剣な表情から無邪気な表情になる。

「行こう!」
そう言って後部座席から降りた多岐川は運転席に移動をした。

「ベルトして」
いつもとは違う口調で言われることにも違和感がある。
同時にどきどきした。

「はい・・・」
私は思わずそう答えるとシートベルトをする。

「まずはその恰好からだな」
多岐川はルームミラーをちらりと見てから車を走らせた。