最後の一夜が授けた奇跡

まるで幼い子供のように私は泣いた。

でも、少しずつ濡れている体が冷えて、震え始める。

多岐川はすぐに私が寒さを感じていることに気が付き、私を抱きしめたまま抱き上げて更衣室へと運んでくれた。

ベンチに座らせて手際よく私の髪を拭き、体に大きなバスタオルをかける。

「着替えてください。」
「・・・ありがとう・・・」
温かな多岐川のぬくもりから離れて、名残惜しささえ感じてしまう。

多岐川は私を更衣室に残すと、部屋から出て行った。

泣きはらした目が明らかに腫れていることが自分でもわかる。

もう一度立ち上がらないとならない。

そうわかっていても私はなかなか体を動かす気力すらわかなかった。